会社と個人の違い

会社と個人はどう違うのでしょうか?
会社を設立する前に考えてみましょう。

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会社法の施行により会社の設立が簡略化され、設立は容易になりました。
しかし、会社を設立すれば、会社を維持していくための費用もかかりますし、税務をはじめいろいろな手続きや法律の知識も必要となります。

会社を設立する前に、メリットとデメリットを確認しておきましょう。

メリット

・社会的、対外的信用力のアップ
会社にする一番のメリットはこれではないでしょうか。
一般的に個人で事業をしている場合と比較して、会社を設立している方が信用力があるといわれています。取引先によっては、会社でなければ取引ができないというケースもあるようです。
会社の方が消費者の信用を得られやすいというのも、現実的な話です。

・税金の側面から、個人事業と法人事業を比べてみましょう。
会社にするメリットのうち、税金上のメリットは大きなものがあります。
ここに掲げるものは代表的なものですが、他にも会社の規模や形態によって、さまざまなメリットがあると思います。

・経費に対する税法の考え方が違います。
個人に対する税金である所得税は、「個人が行った行為は原則として事業活動ではない」という考えに基づいています。
ですから、個人事業の場合、個人が支払った費用について、すべて費用と認められるわけではありません。事業に関係する費用について、「これは事業のための経費です」と主張できる根拠や理由が必要になるのです。

一方で、会社は利益の追求を目的とする事業体です。
ですから、会社に対する税金である法人税は、会社が行った行為は原則としてすべて事業活動と考えており、会社が事業のために支払った費用は、原則としてすべて経費になるのです。もちろん、その中に事業とは関係ない費用が含まれていれば、当然経費にはなりませんし、例外規定(一定の要件を満たすと税金がかかる規定)もたくさんあります。

・税金のかかり方(税率)が違います。
会社の利益に対する税率は、定率です。
個人事業の場合は、累進税率といって、所得が増えると税率も上がる仕組みになっています。

・決算月が自由に決められ、変更することもできます。
個人の場合は暦年単位での課税(1/1~12/31を単位として決算をし、税金を計算します)となりますが、会社の場合は会計期間が任意で決められます。
例えば、年末近くにいつも大きな売り上げがあるような業種の場合、決算期を調整すれば税金の負担が大きく変わってくることがあります。

・赤字の繰り越しが長くできます。
会社の場合、万一赤字が出ても、一定の要件を満たせばその赤字を最大で9年間繰り越すことができます。
これに対して、個人の場合の繰り越しは3年間です。

・消費税
資本金が1,000万円未満で、一定の要件を満たす場合の場合、最初の2期(設立期と第2期)は消費税を納める必要がありません。
これは、個人から法人に変わるときもポイントになります。

デメリット

会社の対外的な信用の裏付けは、その責任を負うことで生まれます。
おもに以下のようなことです。

・会社設立に費用と手間がかかります。
・会社を維持していくための手間や費用がかかります。
・経理事務などの手続きは、一般的に個人事業よりも多く、煩雑になります。
・役員変更登記などを定期的に行なう必要があります。
・赤字であっても、地方税が年間で最低7万円かかります。
・社会保険や労働保険の加入義務があります。
・会社をたたむときも費用と手間がかかります。

会社を設立することによる違いは、今まで述べてきたようなことがらです。
事業を拡大していく上で、会社にすることはとても効果的です。

最初は個人事業で始めて、タイミングを見て会社を設立することも一つの方法です。
おもに税金面の違いが大きいですが、税金面だけでなく、総合的に判断することが必要です。