大盛り無料?、少なめ20円引き?

神保町でランチに行くと、
「ごはん大盛り無料!」とか、
「ごはん少なめ、20円引き!」なんていうのがあります。
ちょっと比べてみたいと思います。

■ ■ 発売中 ■ ■
決算書のつくり方
kindle版 

なぜ社長は決算書に興味がないのか?
Kindle版

で、まず、ごはん。
1人前情報。

ライス普通盛り、重さは170〜200gぐらい。
単品値段はだいたい200円ぐらい。
いわゆる原価は40〜60円といわれています。

ということで、普通盛りのごはん1食180g、
200ー50=150円の利益と置いてみましょう。

大盛り無料!は男子向け。
ということで、量を25%増やしてみます。

単純に量が増えるので、原価が25%増えて62.5円
売値は+0円なので、
200ー62.5=137.5円、単純に原価の増加分の利益が減ります。

ごはん少なめ、20円引き!は女子向け。
比較のために量を25%減らしてみましょう。

上の逆として、原価は37.5円
売価が△20円なので、
(200ー20)ー37.5=142.5円

男性客の増加を見込むか、女性客の増加を見込むか。
これはお店の戦略によります。

ごはん少なめ!のお店は、もともとごはんの盛りが多め。
「あそこのお店はちょっとボリュームありすぎ・・」
そんな女性客が20円引きに魅力を感じるかもしれませんね。

っていうことは、値引き戦略がいいのか・・?

さて、これをMQ会計で考えてみましょう

MQ会計では一般的に「P(売値)を下げることは一番G(利益)を減らす」といいます。

でもこの事例を見ると、値引きしたほうが利益が増えている。
ように見えます。

ですがこの事例、よく見るとちゃんとMQ会計で説明がつきます。

ごはん大盛り無料。

これは結果的に2つの商品を売っています。
普通のごはんと大盛り部分のごはんです。
・普通盛りごはん 200ー50=150円
・大盛り部分ごはん 0ー12.5=△12.5円
これのセット販売で、200ー62.5=137.5円です。

大盛りごはん部分がタダ、つまり100%のPダウン販売なんです。
(大盛りごはんを200円で売っていると考えてもいいです。その場合はこの値決めがハズれている、ということですね)

では少なめごはん。

これは少なめごはん1つの販売。
結果は180ー37.5=142.5円

少なめごはんを値引きなしの180円で売っている。
ということになるんです。

値引きの感覚で行くと、他店が30円引きにした時、他店がごはんおかわり自由にしたとき、こんがらがってきます。

でも、MQ会計で考えると、
女性客を増やすために、どういう戦略で行くか?

これを「ごはん少なめ、20円引き!」と表現してお客様の目を引く、
なんて考えることもできるし、他店の動きにも冷静に対応できるのです。

——————————-

ほかには「12時までに来店のお客様は、ランチ200円引き!」というお店もあります。
ランチの平均が800円ぐらいなので、これはちょっと、と思います。
でも私は食べる側だし、かわいい店員さんもいるので、ちょくちょく行ってしまいます(笑)

飲食店激戦区の神保町。
研究材料には事欠かないのでした。