インポート区分が変わっています(弥生会計23R2)

ものすごい数の区分があります。
「簡素な」税はどこへやら?

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バージョンアップされました

弥生会計が先月下旬にアップデートされました。
今までの23から23R2となり、インボイス対応になったとのことです。
拡張子も変わりました。

入力画面なども、パット見は特に変わっていません。
ただ、インボイス対応ということで、特に仕入の課税区分が更に細かくなりました・・・

あたりまえですが、課税区分を間違えると消費税の計算は間違えます。
さらに10月からは、控除区分(と弥生ではなっていたので、それで進めます)を間違えると・・・
「簡素な」税はどこへやら?

インポートされている方は、課税区分にご注意ください

私もそうですが、Excelのデータをインポート用に加工し、弥生に流し込んでいる方は、バージョンアップ後は注意が必要です。

例えば、10%の税込み課税仕入のインポート用の区分は、「課対仕入込10%」です。

これでインポートをかけると、インポートは終わります(できます)が、こんなメッセージが出ます。

なんとも謎なメッセージです。

これは、「R2の初期設定の課税区分などと合っていないので、直しましたよ」ということのようです。

今までの課税区分で入れたものをエクスポートしてみると、消費税区分が課税区分&控除区分となっていました。

今までの「課対仕入込10%」の後ろに、「区分100%」が付いています。
この「区分100%」を今までのインポート用シートに追加しておけば、あのメッセージは出ません。

この仕訳の日付は2023/3/31ですから、インボイス制度前です。
その仕訳については、弥生会計ではこう表記するようです。

気にならなければそのままでも自動的に直してくれますが、毎回メッセージはちょっと、という方は直しておくとよいでしょう。

10月以降の区分は

弥生の中をのぞいてみると、10月以降の課税区分&控除区分はこんなふうになっていました。

インポート用のシートの調整が必要になりますね。
どうやってやるか、考えます。

なお、入力画面では、こんなふうになっています。

ソフト会社も工夫しているようですが、やはり複雑ですね。

いやいや、「簡素な」税はどこへやら?

さて、消費税の納付は固定されてしまいますが、簡素、という意味で3年半ほど前(2019.11)に書いた記事があります。
・小規模飲食店は簡易課税の方が有利かも?(軽減税率対策にも)
軽減税率導入時の話なので、今に置き換えて抜粋を載せておきます。

飲食店業は第4種です

いわゆる食事を提供する飲食店、業種でいうと「飲食店業」の事業者。
この事業者が、消費税の簡易課税制度を適用する場合は、第4種事業に該当し、売上の60%を仕入れとみなして、消費税を計算することができます。

この制度を使うための要件は、
・基準期間(簡単に言うと個人は2年前、会社なら2期前)における課税売上高が5000万円以下であること
・適用を受けようとする課税期間(ほぼ事業年度)の始まる前までに簡易課税の届け出を出すこと
になります。

注意点としては、
・簡易課税制度の適用は、2年間継続しなければならない(2年後辞める場合は届け出が必要)
・簡易課税制度の適用を受けていても、基準期間の課税売上高が5000万円を超えると、簡易課税制度は使えない
・設備投資等を予定しているときは、簡易課税が逆にデメリットになることもある
があげられます。

簡易課税のメリットと、消費増税による特例

計算がラクです。
仕入れについて、これは10%、これは8%(軽)・・と消費税の区分を分ける必要がありません。
仕入業者が適格かそうでないかを、気にする必要もありません。

簡易課税制度は、売上についての消費税について、みなし仕入率を使います。
ということは、売上は10%消費税で計算され、これにみなし仕入率がかかります。

単純に比較しても、食材の仕入れ分の税率の差額2%分は、多めに控除されます。
原価率などにもよりますが、これも考慮して判定してみるといいかもしれません。

ーーー
【編集後記】
先日ある方と話していて、「消費税は第2法人税(所得税)だ」という意見があることを知りました。

売上から仕入を引いて、その残りを全部給料にすれば法人税はかかりません。
法人税は利益にかかるからです。

ではこの場合、消費税はどうなるか?

売上の消費税から仕入の消費税を引いた残りを払います。
会社の利益がゼロでも、消費税はかかります。
これは実は、給料の10%を消費税という名目で課税しているのでは?

なるほどです。

課税のリクツはいろいろあり、どれももっともなようにも聞こえます。

給付金などの目くらましに惑わされず、税については常に注目しなければいけませんね。