仕事が終わったら、帰る

あなたに一番近いのは?

ある仕事がありました。
その仕事を終えると、その対価として10万円もらえます。
その仕事にかかる標準的な時間は、3時間です。
発注者は発注後3時間たつと来て、仕事の完了を確認し、対価を払います。

■ ■ 発売中 ■ ■
決算書のつくり方
kindle版 

なぜ社長は決算書に興味がないのか?
Kindle版

・Aさん
 3時間できっちり仕事が終わった(終わらせた)
・Bさん
 2時間で仕事が終わって、後1時間そこで待っていた
・Cさん
 2時間で仕事が終わり、遅れていたDさんを手伝った
・Dさん
 Cさんに手伝ってもらいつつ、3時間で仕事が終わった
・Eさん
 1時間で仕事を終わらせるとどこかへ行ってしまい、3時間経つと戻ってきて、対価を受け取った

あなたに一番近いタイプは、誰でしょうか?

掃除が終わったら、帰る

先日、「小学校のときに掃除を早く終わらせたら、先生に怒られた」ということが話題になったそうです。
これをどう考えるか?

先ほどの例は、対価のある「仕事」です。
小学校の時の掃除は、対価がないので仕事ではありません。
「奉仕活動」でしょうか。

先生は、なぜ怒ったんでしょうか?

学校は教育機関なので、という意見もあるかと思います。
集団行動である、協調性が必要、相手を思いやるとか、いろいろな「教育的」な意味合いがあるからなのかもしれません。

でも、怒られる筋合いのものではないと思います。

この話題で、掃除を早く終わらせるのは損か得か?という話になっていったそうです。
これが損得の話になるのもいかがかと思いましたが・・

仕事が終わったら、帰れる

「仕事が終わったら、帰る」
「仕事が終わったら、帰れる」

この発想は、日本では意外に難しいこととされています。

さらに、仕事労働者、時間労働者とでも言いましょうか。
仕事に対して対価をもらう人(仕事労働者)と、仕事をした時間に対して対価をもらう人(時間労働者)では、考え方が違います。

仕事労働者でも、時間労働者的な扱いになることも多いです。

「仕事が終わっても帰れない」
「長い時間仕事している=がんばっている」
こういった風潮が、日本人の生産性を低くしてしまっていると思います。

先ほどの例でいう、Eさんが増えると、全体的な生産性は上がります。
Eさんはごく単純に言えば、3時間で3つの仕事をこなせ、30万円を稼ぎ出す力があるということですから。

同一労働・同一賃金

同一労働・同一賃金ということばがあります。
同じ仕事をしたら、同じ賃金という意味です。

「賃金」ということばはあまり好きではないので、以下「報酬」と変えます。
(「労働」ということばも、あまり好きではありませんが)

正規でも非正規でも、同じ内容(成果)の仕事をしたら、同じ報酬を払うべき。
そのとおりだと思います。

では、同じ内容(成果)の仕事をAさんは3時間で終え、Eさんは1時間で終えた場合。
同じ報酬を払うか?と問うと、支払側は「払う」と言うと思います。

そこで「Eさんに1時間後に報酬を払ってもらって、後は帰ってもらってもいいですか?」と問います。

そうすると、「いや、3時間はいてもらわないと困る」とか「残りの時間で他の人を手伝ってほしい」となることが多いです。

例に出した5人、AさんからEさんは、全員3時間後に10万円をもらえるはずです。
ただ、拘束の概念があると、Eさんは2時間いなかったからその分引かれるとなってしまうかもしれません。

仕事が終わっているのに、Eさんが3時間拘束される理由は何でしょうか?
Cさんは、Dさんを手伝った分の報酬は、もらえるのでしょうか?

評価のしかたを変えるといいながら、労働時間(拘束時間)という概念から抜け出せない。
ここを変えていかないと、生産性は上がっていきません。

短時間で仕事が終わらせられる、のは能力です。
評価されていい、つまり報酬をさらにもらっていいものだと思います。

能力アップや生産性を求めるなら、仕事が終わったら(定時前でも)帰っていい。
定時までいてもらうなら、その分の報酬を追加で払う。

仕事が終わったら、定時でなくても帰る(帰れる)。
そして、その場合でも報酬は変わらない。

そんな流れにしていくことが、大切だと思います。

ーーー