個人事業で予定納税額があるということは?

e-taxでの申告時にチェックを入れていなかったので、郵送されてきました。

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(チェックする場所は第1表の右下にありました)

源泉徴収される人たち

個人事業主で一定の方は、報酬を受け取るときに所得税の源泉徴収がされます。
私のような税理士をはじめ、いわゆる士業者の方は源泉徴収の対象になります。

ほかにも原稿料やデザイン料などをもらっている方も、源泉徴収がされます。

昔は10%とわかりやすかったのですが、今は復興特別税も一緒に引かれています。
合わせて10.21%、端数が出やすく、めんどうです。

この源泉徴収税額は、所得税の前払い。
翌年に確定申告をすると、精算されます。

サラリーマンの方の年末調整と同じです。

還付はうれしい?

昔は確定申告すると還付金が戻ってきて、なんか得したような気になっていました。

でも、よく考えれば別に得はしていません。
単純な精算ですから。

からくりというほどでもないですが、源泉徴収額は収入額(つまり売上)に対して10%です。
一般的には経費がかかりますから、その分は所得税はかかりません。

国からすれば、経費分にも先に税金をかけておいて、経費分の所得税を後から返してやるくれるわけです。

損益的には精算される感じですが、資金繰り的には売上の9がけ(10%引かれるので)で予定しなければいけません。

知り合いの税理士の方が個人から法人(税理士法人)にして、一番実感したのがこれだったと言ってました。
仮に年間5,000万円の売上があれば、ざっくり500万円の資金繰りが改善するわけですから。

仕事と収入のバランス的なもの

私の場合、今年は予定納税の通知が来ました。

なぜ来るのかといえば、2022年分の確定申告で、今年の3月15日に15万円以上の所得税を払ったからです。
独立当初は還付されることが多かったです。

しかしここ数年、還付額が減ってきていて、2021年は納税(予定納税はなし)。
2022年は納税(予定納税あり)となりました。

税理士は還付される方が多いと思いますが、なぜ?
というところを、ちょっと書きます。

個人で独立される(されている)方の参考になれば。

所得税ゼロ期(全額還付)

引かれていた所得税が全額戻る、時期もありました。
これはちっとも喜べません。

・収入<費用+所得控除、あるいは
・収入<費用
なわけですから、商売になっていない、ですよね。

もし今こうなら、早く脱却しなければなりません。

所得税一部還付期

引かれた税額全部が戻るわけではないけれど、戻ってくる方。
たぶんいちばん多いと思います。

これはどういうことかというと、

・(収入ー経費・所得控除)✕税率=納税すべき額
・源泉徴収税額ー納税すべき金額=戻ってくる金額
なわけです。

つまり、「 源泉徴収税額>納税すべき金額 」です。

多くの場合、源泉徴収税額は10%でしょう。
とすると、あまり稼げていないかも?

納税になる場合

納税になったということは、稼げているのでしょうか?

実はこうなるには、こんなパターンがあります。

・売上のほとんどが法人顧問先からの売上で、利益も出ている場合
・売上のほとんどが個人の顧問先からの売上で、利益も出ている場合
・相続税の申告をメインにしている方などで、利益が出ている
・税理士以外の売上(コンサルやセミナー、物販などもしている)が多い場合で、利益が出ている

そのほか、上記の組み合わせの結果、納税すべき額に比べて、源泉徴収税額が少ない

私の最近の傾向としては、その他売上や相続案件が入ってきているのが理由でした。

いずれにしても、利益を出すのは当然のこととして、

・自分がしている(したい)仕事と、それに伴う売上のバランスがとれているか?
・その結果としての、適切な納税額か?

は意識したいものです。

還付額はたしかにうれしく感じますが、あくまでも先に天引きされていて、精算した結果でしかありませんので。

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