勘定科目内訳明細書の書き方(受取手形、支払手形)

手形の科目明細、めんどくさい明細の代表格です。

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手形の内訳書、基本は同じです

手形取引は減ってきたとはいえ、まだあります。
最近は紙の手形に代わるしくみ、でんさい(電子債権)もあります。

記載事項としては、受取手形の場合、振出人、期日、金額、てん末を書きます。
振出人とは手形の券面に書いてある支払者、てん末は決算日現在どうなっているかを書きます。

もらった手形を割り引いた場合は、明細書の「割引銀行名」欄にどこの銀行で割り引いたかを書きます。
また手形を裏書きした場合は、摘要欄に「裏書き」という記載をします。
これらの記載がない場合は、手元にあることを意味します。
(※割引、裏書きなど、手形の豆知識は後半で)

この明細書の場合、手形200万円のうち、手持ちの手形は2枚・100万円、割引手形と裏書手形はともに50万円ということを意味します。

支払手形は自社が振り出している(渡している)手形ですから、誰に、いくら振り出しているかを書くことになります。

受取手形も支払手形も、1枚1枚書かなくても構いません。
取引先ごとに集計して、1社あたりの総額が100万円以上の場合のみ書きます。
100万円未満の取引先ばかりの場合は、多いものから5口程度で構いません。

また、自社で手形の管理がしっかりできている場合には、まとめて書いて構いません。

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知っておきたい手形の豆知識

手形はどんなときに使われる?

手形は通常の商取引において、代金決済のときに使われます。
ですから、受取手形も支払手形もその相手先は原則として、自社の取引先になります。

また、一般的には銀行に信用がないと、支払手形を使うことができません。
ですから、手形を発行している会社は、それなりの会社ということになります。

手形の資金化

手形は紙切れです。
期日が来るまでお金になりません。
その期日のことを「満期日」といいます。

他社から受け取った手形は、支払先が承諾してくれれば、お金の代わりに支払手段として使うことができます。
例えば50万円の支払いに、額面30万円の手形と20万円の現金を渡す、といった具合です。
この手形を渡すことを「裏書き」といいます。
手形の裏側にこちらの社判と印鑑を押すことから、この名が付きました。

もう一つの資金化の方法は、その手形を担保に銀行からお金を借りる方法です。
「手形を割り引く」といいます。

お金を借りるわけけですから、金利を払います。
この金利のことを「割引料」といい、「手形売却損」という勘定科目で処理します。

要注意!融通手形

一般的にはあまりないと思いますが、手形を商売以外の目的で発行することがあります。
資金の貸し借りのために行うもので、融通手形といいます。

融通手形は双方で手形を切り合い、銀行から資金を引き出す目的で使われます。
商売に基づかない手形、つまり資金の裏付けのないものになります。

そのため銀行はこの融通手形を嫌いますし、融通手形とわかると、割引(手形を担保にお金を貸すこと)には応じてくれません。
そういうものですから、融通手形として手形を使うと銀行の信用を失います。

※「融通手形」は俗称で、手形の券面に「融通手形」と書いてあるものはありません。

手形取引はできるだけ避けたい

まず分かりやすいところで、支払手形。
支払手形を使い始めると、3〜4ヶ月はとても資金繰りがラクになります。

いいえ、なったように錯覚するだけです。
3〜4ヶ月目からは支払いが始まりますので、資金繰りが改善されているわけではありません。

支払手形は期日がくれば、無条件で決済がされます。
商売のタイミングと支払のタイミングが大きくズレますので、管理も大変です。

受取手形も資金繰りを圧迫します。
3〜4ヶ月目からは入金が始まりますが、その遅れは手形取引をやめてから3〜4ヶ月経つまで解消されません。
3〜4ヶ月分の資金が、手形取引終了まで、ずっと寝る(使えない状態になる)ことになります。