間違った方向に行かないように

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決算書のつくり方
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そもそも、どういう趣旨でできたのか?

最近、国はゼイキンを取ることしか考えていません。

そうすると、税金を払いたくないので、いろいろな方策を考え出します。
そうすると、それを封じ込めようと、国が税法を変えてきます。

こうやって、税制はどんどんねじ曲がり、複雑怪奇なものになっていきます。
税金の3原則の1つである「簡素」は、どっかに行ってしまいました。

そもそもなぜこの税法ができたのか?
それすらも分かりにくくなっていくことも、多くなってきました。

だんだんこんがらがってきて「うーん」となっることもあります。
そんなときは、そもそもの趣旨に立ち戻り、素直に考えてみます。
そうすると、解決策がすーっと導き出されることがあります。

小規模宅地についての特例

私は相続税の申告は原則としてしませんが、相続に関するご相談は最近多くなってきました。

相続税を減らす方法の中に、「小規模宅地についての特例」というものがあります。
一定の要件を満たした土地の評価を下げてくれる制度です。

この制度は昭和50年代、日本が安定成長期になったころにできました。
地価は右肩上がり、ということは相続税の負担も大きくなる。

当時はそんなに金融資産はなく、親から引き継いだ財産は家屋敷だけ、ということも。

そうすると、相続税を払うために家屋敷を売らなければならない。
「そうまでして国は税金を取るのか!」

ということで、できたものです。
ちゃんと意義があったのです。

時代は昭和から平成、令和へと

時代は移り、今は令和の世の中です。
昭和の時代とは家族形態や生活様式、価値観はずいぶん変わりました。

核家族化が進み、親子の同居も減っています。
子どもも自ら家を持ち、家が余り、空き家問題も起きています。

その現代で相続が起きます。
親子が同居していないなら、小規模宅地の特例は使えません。

税法と現実がズレてきている、合わなくなってきているのです。
でも、税金が安くなるから同居している形にして・・、と考える方が出てきます。

あの手この手を考えますが、そうやって税対策をしたつもりでも、必ず無理が出てきます。
つじつまが合わなくなり、普通に考えて、「そんな生活します?」ってなります。

本来は税制を今の時代に合わせて、改正するべきだとおもいます。
ただ、国も機能不全気味ですから、変わるかどうかは微妙です。

だからといって現実離れした対策(?)をすることは、間違った方向に行くことを意味します。

相続の場合は特に、ゼイキンから考え始めない方がいいと思います。
間違えますから。

税金からではなく、家族や親子の関係から、じっくり考えてみてはどうでしょうか?

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