個人事業主の経費とは?(事業関連性)

この時期、個人事業主のお客様からいろいろなお問合せがあります。
中でも多いのは「これは経費になるの?」というものです。

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その考え方をご紹介します。

必要経費とはなにか

商売をしている場合、その商売についていろいろな経費がかかります。 
例えば飲食店をやっている場合、お店の家賃は「必要経費」になります。
お店がなければ商売になりませんから、ここは問題ないと思います。

費用について、税法は会社と個人ではそのとらえ方が違います。
会社はそもそも「商売をするために」作られたものですから、税法上も会社が支出した費用は「原則として、すべて必要経費」となります。

一方、個人事業の場合はどうかと言いますと、税法では個人は原則として「生活者」という概念になっています。
ですから「個人が」支出した費用は「原則として家事費」と考えます。
税金計算でいうところの費用(経費)とはならないわけです。

個人事業主は生活者と事業者の2つの側面を持ちます

では、商売をしている「個人事業主」はどうなるのでしょうか。

個人事業主は、同じ人間が「生活者としての個人」と「商売人としての個人」をあわせもちます。
そのため、その個人が使った費用が「家事費」なのか「事業の必要経費」になるのかが、あいまいになることが少なくありません。

そこで税法は、個人事業の経費については「所得を生ずべき業務について生じた費用」で「業務の遂行上必要」なものは経費になるとしています。
つまり、個人の費用は原則は家事費だが、明らかに事業のためのもの(上記の2つの要件を満たしたもの)は業務の必要経費としてよい。
そんな考え方です。

ですから個人事業でも「事業に関係する費用」は、「すべて」経費になります。

※業務と事業、費用と経費など似たような言葉が出てきます。
 厳密には意味が違う部分もあるのですが、同じものと理解して下さい。

判例を見てみましょう

個人事業の必要経費の取り扱いについては誤解も多いので、最高裁の判決(26年1月17日)の判決を参考に確認しておきましょう。

最高裁の裁判での争点は、個人の支出した経費の「事業関係性」についてでした。

納税者は「間接的ではあるが、業務上必要なものである」
税務署側は「業務と直接関係ないので、経費とは認められない」

この最高裁の判決は、納税者が勝ちました。
つまり「間接的であっても、業務上必要なものは経費になる」としたのです。

しばしば多くの方が誤解しているケースがあるのですが、条文は「直接業務に関係のある」とはなっていません。
ただ税務署は「業務と直接関係し、業務の遂行上必要であるというのが当然」と解釈して、直接性を判断の基準としてきたのです。

もともと、この根拠となる法律(実際は改正なのですが)ができる経緯として、「事業に関係しているが、直接所得に結び付いていなくても認めるべき」「家事費と区別がつきにくいものはできるだけ排除すべき」と今回の論点が税制調査会で議論されていました。

その結果として前者、つまり「認めるべき」という考えのもとに、この改正が行われたのです。
ですから条文にも「直接」という言葉が入らなかったんだろうと思います。
税務署側がこれを踏まえず、解釈をしていたということのようです。

もしあなたが個人事業主で、判断に迷った場合「所得を生ずべき業務について生じた費用」で「業務の遂行上必要」かをきちんと判定して下さいね。

迷ったら、こう考えてみてください

判定のしかたとしては、その事業(商売)をしていない場合であっても、その費用を払うか、です。

例えば飲食店をやっていないのに、お店の家賃を払うことはないですよね。
ですからお店をやっていれば払う、お店の家賃は事業の経費になります。

個人のスマホを仕事でも使っている(混在している)場合はどうするか。
全体の料金から、仕事の分だけを「明確に」抜き出すことになります。

「事業に関係あるか?」=「事業をやっていない場合にそれを払うか?」
が判断しやすいと思います。