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税理士 谷口敏文のblogー決算書は経営の役に立ちません

31兆円のかさ上げ

time 2016/12/12

先日、こんな記事がありました。

名目GDP31兆円増 「低成長日本」の印象変わる
設備投資80兆円超す 政権目標600兆円へ前進
2016/12/9 2:30 日本経済新聞朝刊 [有料会員限定]

 内閣府が8日公表した2015年度の名目国内総生産(GDP)確報値は532.2兆円となった。国連の基準に合わせて研究開発費などを加算する算出方法の見直しを実施した結果、旧基準より31.6兆円増えた。

GDPとは、国内総生産、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額をいいます。
内閣府が推計し、速報値や改定値として発表しています。
ただ、その詳細な計算方法については公開されていません。

今回、その計算方法が見直されたそうですが、その結果31.6兆円もかさ上げされたのです。
日経新聞によれば、そのかさ上げ額の2/3にあたる19.2兆円は研究開発費とのことです。

かさ上げの正体は?

このかさ上げって、粉飾決算に近いような気がします。
粉飾決算とは本来の損失を繰り延べたり、架空の利益を使って業績をよく見せる手法を言います。

このGDPの増加は計算方法の見直しによるものです。
実質的には費用である研究開発費を「付加価値」としています。
おそらく「この研究開発(費)が将来の付加価値(利益)を生み出す」という理屈でしょう。

会計でも、実際には費用として使った研究開発費などを一時に費用にせず、将来に繰り延べる処理があります。
この結果、見かけ上の利益は増えることになります。
費用を繰り延べるために「繰延資産」に分類して、貸借対照表に載せます。

もちろん認められた処理ではありますが、「繰延資産には資産性がない、換金性もない」ということで、早期の償却(早めに費用化)することを求めています。

だって使っちゃったお金ですからね。

さらに記事はこう続いています。

安倍政権が掲げる20年ごろまでに名目GDPを600兆円に増やす目標の達成に一歩近づく。新たな統計のモノサシで日本経済の風景が変わる・・・

ルールを変えて目標達成。相撲に例えるなら、
「負けそうになったから土俵を広げて、オレはまだ土俵から出ていないから負けていない」
そんな感じですね。

いかがなものでしょうね?

書いてる人

谷口敏文
(税理士 ㈱TKS 代表取締役)

決算書作りに疑問を感じていたとき、戦略MQ会計に出会う。
経営の役に立たない決算書から、経営に役立つMQ会計を広めるべく日々活動中。

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