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税理士 谷口敏文のblogー決算書は経営の役には立ちません

気をつけないと、税金のダブルパンチです(持続化給付金)

time 2020/09/27

知り合いの税理士さんが遭遇した事例です。
気をつけないと、税金がダブルでかかることになります。

持続化給付金

持続化給付金、少し落ち着いてきた感もあります。

新型コロナの影響で、売上が激減してしまった事業者を支援するための制度です。
まず間違えてはいけないのは、コロナの影響でないとダメです。

単純に昨年たまたま売上が多くて、今年は半分以下(もとに戻っただけ)とか、
コロナに関係なく、どんどん業績が下がっていたとか、

そういう事業者は給付の対象になりませんよ。

不正受給は論外、摘発もされていますね。

給付金は誰のもの?

給付金は事業者に対して給付されます。
個人事業者や会社です。

個人事業主が申請して給付を受けたら、事業の収入(収益)としてカウントします。
会社の場合は、会社の収入(収益)とします。
あくまでも事業への補填です。

会社が申請した場合、給付金は会社が受け取るのが普通(自然)です。
会社名義の口座に振り込んでもらい、事業への補填をします。

ところが、この振込先。
たとえば社長の個人名義の口座を指定することができます。

これは制度(仕様)の不備だと思います。
今からでも直してもらいたいです。

会社が給付金を申請していて、それが社長の個人口座に振り込まれた。
特段何もしなければ、会社の帳簿には変化がありません。

もちろんそれでいいわけはなく、一定の処理が必要になります。
知り合いの税理士さんは、これに気づき事なきを得たとのことです。

何もしないと、税金のダブルパンチです

もし、会社が給付金を申請していて、それが社長の個人口座に振り込まれた。
会社が何も経理せず、決算・申告をしてしまうと、こんなことが起きます。

収入の計上漏れ

何もしないと、会社の帳簿には変化がありません。
ですが、持続化給付金は、会社の収入に含めなければなりません。
一般的には「雑収入」などの科目で経理します。

会社の利益が1000万円で、持続化給付金を満額もらっていた場合、200万円をプラスしなければいけません。
1200万円が会社の利益で、これをもとに法人税等の計算をします。
持続化給付金は、法人税等の対象なのです。

これが漏れていれば、うっかりでも脱税となります。
意図的に載せていなければ、さらに重加算税の対象になります。

役員賞与

本来会社へ入金すべきお金が、社長(個人)の口座に振り込まれた。
この場合、どうなるのか?

会社のお金ですから、社長は会社に渡すべきですね。
200万円を会社の口座に入金すれば、ここで経理処理がされます。
雑収入の漏れもなくなりますから、問題にはなりません。

しかし、個人の通帳に入金されたお金を会社に戻さなかったら、役員賞与となる可能性が大です。
社長が戻さない = 会社があげた ということになるからです。

そうすると、給与扱いになるのですが、これは臨時的なものになります。
役員の給料は毎月定額と決められていて、イレギュラーな支払は賞与扱いです。
しかも、役員賞与は会社の経費として扱われません。

まとめると

社長が戻さない = 会社があげた → 役員賞与となり会社に法人税等がかかる
社長がもらった → 社長の給与収入となり、所得税、住民税がかかる

つまり、給付金は200万円なのに、
200万円について、会社に法人税等がかかる。
(そして同じ)200万円について、さらに社長に所得税、住民税がかかる。

俗に往復ビンタといわれる課税がされます。

税務署側ではグリコ(一粒で2度おいしい)と言われているとか・・・

対策として

・会社の給付金なので、振込先を会社の口座にする
・もし社長個人の口座に振り込まれた場合には、そのお金は会社に入金する
・税理士等に持続化給付金のことを言う

そして同業の皆さん、持続化給付金の申請・受給の有無は必ず確認しましょう。

ダブルパンチを受けないように、気をつけましょう。

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書いてる人

谷口敏文
(税理士 ㈱TKS 代表取締役)

決算書作りに疑問を感じていたとき、戦略MQ会計に出会う。
経営の役に立たない決算書から、経営に役立つMQ会計を広めるべく日々活動中。

■ 登録商標について

・「MQ会計」「MQ戦略ゲーム」「企業方程式」は、これを考案開発された西順一郎先生の会社、 株式会社 西研究所 の登録商標です。

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