身につくまでは、繰り返し

初めてやることはわからない

例えばあなたの会社に、新入社員が入ってきました。
会社によって、いろいろな決まりがあります。
タイムカードを押します、お昼は何時からです。小口精算はこうします。

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あるいは仕事について、手順や工程が決められているものもあります。

ベテランの人は、もうそれが分かっています。
手順書のどこに何が書いてあるかも、「この作業指示の前後には、こういう作業がある」ということも。
ところが、はじめての人はそれが分かりません。

当たり前です。

それが会社の中でいろいろ改良され、今の段階でベストの状態になっていたとしても、それは新人には分かりません。

どう伝えるか

さて、ベテランのあなたはそれをどう伝えるか。
どう教えたらよいのでしょうか。

例えば会計事務所に新人が入ってきて、法人税の別表を書いてもらうとします。
書くのは別表5(1)、「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」です。

まず、同じ紙を見ます。
その紙は何のために使うのか。どこに何を書けばいいのか。
記入するための決まりは、どうなっているのか。

ただ、ちょっと見ただけではよく分かりません。
また、「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書、27行目の納税充当金の欄、当期の増減の減の②欄に、租税公課の明細、別表5(2)の・・・」と説明されても、特に初心者は頭に入りません。

でも、慣れれば、
「別表5(1)に、納税充当金の減少金額を記入します」
こう聞いただけで、すぐ記入箇所が思い浮かびます。
他の帳票のどこから、金額を持ってくればいいかも分かります。


(記入箇所はここです)

はじめての人にはチンプンカンプン

ベテランはダメ元でも、なるべくわかりやすく説明しようとします。

しかし、受ける初心者は、
・用語が分かりません
・言葉を言われても、それが耳に入りません
・「のうぜいじゅうとうきん」は「納税充当金」に頭の中で変換されません
・用紙を見ても、何がどこにあるかなんて分かりません
・用紙は見えているだけ
・どう計算するかも分かりません
・他の帳票から転記する部分も分かりません

それが普通です。

だから初めての人は、慣れるまで、分かるまで、繰り返しが必要です。
素直に説明者の声を聞いて、言われたとおりににやる。
何回もよく読んで、隣の人に聞いて、お手本を見て。

ベテランの人は、同じことでも何回も、はじめての人の耳に入り、目で追えるように話すなど、工夫が必要です。
でも、手取り足取りはなるべくしない方がいいです。

それが分かっているインストラクター、ベテランは教えません。余計な手出しもしません。
その人を伸ばしてあげるため、本人の努力・がんばりを見守るのです。

初心者は最初は辛いです。
でも3回、あまり間をおかずにやれば、その先ラクになってきます。

身に付くと少しずつ、応用が効くようになります。
そして双方がそれぞれ成長していけるんですね。

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【編集後記】

年末年始、移動のための切符の手配が無事終わりました。
これが終わると落ち着いて12月モード(?)に入れます。