原価率が高いのはダメ?

飲食店の原価率は30%!?

コンサルタントの方や、税理士さんがよくこう言います。

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飲食店の原価率は30〜40%ぐらいが一般的です。
これを超えないように、原価管理をしっかりして、食材のロスを減らし・・・

そうなのか。
じゃあ、メニューの冷やしトマトは1個じゃなくて、半分をうまく盛り付けるか。
そうすれば原価率が30%にできるから、利益が出せるな。

もしこんなお店があったら、お客さんは喜んで来てくれるでしょうか?
メニューの写真はトマト1個分なのに・・

原価率はどうやって計算する?

原価率ってどうやって計算するのでしょうか?

原価率は、原価÷売価×100 で求めます。
かかった原価を、得た売上で割り算するわけです。

特に疑問は感じませんでしたか?

こう書き換えたら、どう思いますか?

かけた原価を、得た売上で割り算する。

計算方法は同じでも、意味合いは全く違ってくると思いませんか?

ある飲食店の取り組み

お客様で飲食店を経営されている方がいます。
いわゆる居酒屋タイプのお店。
コロナの影響も、とても受けました。

その店主には、以前から私がMQ会計について、その考え方をお話していました。

「結果の数字だけを分析してもダメですよ。」
「どうやったらお客様が喜ぶかを考えながら、シミュレーションして、MQを増やしていくかですよ。」

今回のコロナ禍の対応の中で、「谷口さんの言っている意味がわかったよ」と言っていただきました。
具体的な数字は書けませんが、許可をいただきましたので、その内容をご紹介します。

取り組み前のある月と、MQ会計の視点で店主が取り組んだ後の月の比較です。

この数字を見せると、コンサルタントや税理士の先生にこう言われるかもしれません。

「売上が上がったから、原価も上がったのは仕方ないとしても、原価率が4ポイントも上がったのは良くないですね」

教科書どおりのご指摘がされるでしょう。

もうちょっと細かく「分析」してみましょう。

日数や客数で、平均してみましょう。

こうやってマーカーを引かれて、
「やはり原価率、特に料理の原価率は考えないといけませんね」
と指摘されるかもしれません。

(冷やしトマトは、4分の1個を薄〜くスライスされてしまうのでしょうか・・)

でも、店主のがんばりは、ちゃんと結果に出ていますよね。

料理内容を良くしたので原価は上がり、1人あたりの粗利も下がったけど、お客さんが増えているそうです。
(実際に増えています)
結果として粗利が稼げているのです。

原価率を意識して仕入れとかをしていたら、実際の原価率はもっと悪くなるでしょう。
かけた原価を、得た売上で割った、その結果が原価率です。
原価率ありきではないんですね。

粗利とMQは、似ていますが違うものです。
その店主も粗利とMQの違いをご理解されて、取り組みをされ、結果が数字に出てきています。

表面上の、結果の数字では見えない取り組みですが、その結果は必ず数字に現れます。

これからも、いい流れを作っていくお手伝いをしたいと思っています。

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