数字のウラ側も見ておきましょう

「46%の削減を目指します!」

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数値で説明すると説得力がある

「数値で説明すると、説得力がある」とよく言われます。

「だいたいOKです」とか、
「ザクっと、いい感じに」みたいな説明だと、わかったようなわからないような。

「で、実際のところどのくらい減るの?」

数値で説明すると、こんなふうになります。

「今期は交際費の46%の削減を目指します!」

と聞くと、「46%ということは、半減に近い。そうとうやる気だな!」
なんて、上司の評価も上がるかもしれませんね。

数値もいくらでも作りようがある

こんなことを書くと、怒られるかもしれません。

アヤシイことをするわけではなく、数値自体も動きの中の瞬間的なものです。
ただ、流れているものを捕まえるのは困難なので、いろいろなところで切って、その断面を見るわけです。

切り方、見せ方でいくらでも印象は変わります。

スーパーで「今レジの残高いくら?」と聞いたところで、数えている間にもお客さんはレジに並び、お金の出入りがあるわけです。
(実際は別のところで数えますけど)

数値で示された場合でも、その数値の背景を理解しておく必要があります。
どうやってその数字が導き出されたのか、その数値の根拠はなにかを。

「46%って、どういう根拠?」

円グラフはわかりやすい

グラフは視覚的にとてもインパクトがあります。

たとえばこの円グラフ。
A,B,C・・と数値が付いています。
大きい順に並んでいて、最後はその他です。

Aは全体の26.6%、Bは全体の12.9%となっています。

円グラフは、全体を100とした場合の構成比(シェア)を示すものです。
全体が1000円か1億円かでは、そのボリューム(大きさ)は全然違います。

総量を増減したい場合、構成比の大きいものに手を付けたほうが、効果は大きくなります。

実は上のグラフのもとは、このグラフです。
今温室効果ガス削減の世界的な議論がありますが、その際の判断材料に使うことができます。

中国とアメリカで、全体の40%近くを占めていますから、この2国が積極的な取り組みをすることは、総量を減らすことにとても効果があります。

グラフは資源エネルギー庁のサイトより

時間が見えるグラフ

コロナになってから、最近TVでよく見るグラフ。
あれは棒グラフですが、横軸に時間をいれることで推移が見れます。

ただ、そのままだとジグザグになりがちなので、推移(趨勢)を見るためには、移動平均線を付けるとより分かりやすくなります。代表的なものは株価の推移グラフですね。

「移動平均」は知らない方も多かったようですが、一般的な言葉になりました。

次に見てみたいグラフはこちらです。

横軸に、時間(年)が取られています。
推移がわかります。趨勢もわかります。

一番目立つ赤色の線、上から4番目のオレンジの線。
この2つだけ、他と動きが違います。

これも温室効果ガスのグラフなのですが、赤は中国、オレンジはインドです。
それ以外の国は、横ばいかやや減少しています。
各国の今までが見えます。

アメリカやカナダは2005年を基準として、50%削減の目標を示しています。
中国は2060年までに実質ゼロ、インドは2050年までに実質ゼロを掲げています。

中国やインドは基準年がありませんが、アメリカやカナダは基準年が2005年ですから、そこに線を引いてみましょう。

これを見ると、各国の取り組みの度合いも考察できます。

ちなみに日本は2013年を基準として46%、いや、各国に合わせて50%を目標にと言っています。
日本はもともとそんなに出していないよ、とは言えるのか。
日本は絞った雑巾を、さらに絞るような努力なんだよ、とは言えるのか。

数値の背景や根拠を見ること・示すことで、その実現度合い・真剣度も見えてきます。
数値そのものだけでなく、そのウラ側も見るようにしておきたいものです。

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