この10月から、ムダな手間は1つ減りましたが・・

たまには税金のお話。

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決算書のつくり方
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これってムダだよな〜と思ってました

会社Aが100%出資して、会社Bを作ることがあります。
この場合、AとBは親子関係になります。

Aが親会社、Bは子会社になります。

ちょうど今話題のJ社と、そこの代表取締役が変わったT社のような関係です。
親会社が100%持っている子会社のことを、完全子会社といいます。

子会社が儲かって利益が出た場合、株主(親会社)に配当をすることがあります。
(親会社の収益は、子会社の配当のみとします)

その場合、こんな流れになります。

1,子会社が親会社に配当金を支払う
2,その時に配当金から源泉所得税を引く
3,その引いた源泉所得税を国に支払う
4,親会社はもらった配当金を収益にする
5,親会社は決算のときの税務調整で、もらった配当金はないものとして申告する
6,親会社は2のときに引かれた源泉所得税を、国から返してもらう

ごくかんたんに言うと、
・100%親子会社間の配当は利益にならないんだけど、
・決まり上、源泉所得税を引いて、
・その源泉所得税をあとで会社に戻す

というムダなことをしているわけです。

会計検査院の指摘で

この一連のムダな処理、会計検査院から指摘が入りました。

・源泉所得税を引くというのは、確かに決まり上正しいけれど、
・結局その税金を返すことになるのなら、引かなくていいんじゃないの?

確かにそのとおりです。

納税者も税務署も、その手間が必要になりますし、
税務署から帰す場合には利息をつけて返さにゃなりません。
これもムダだよねぇ

で、この源泉所得税を引いて、納めて、また返す、という手続きは、2023年10月1日から不要になりました。

注意度はUPしています

ムダが省けて、めでたし、めでたし。

と思いたいところですが、これがそうならないのは税務の常。
落とし穴がたくさん開いてしまいました。

あくまでもめでたいのは、ずーっと100%完全子会社の場合のみ。

途中から100%になったとか、途中で会社を買って100%子会社にしたといったケースでは、これが適用されない場合があります。

このへんは難しいので、必ず税務署や顧問税理士さんに相談してくださいね。

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