率がでてきたら「額」、額がでてきたら「率」を見る

あの会社、こんなに・・・

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数字はいろんな角度から見る

会計人、コンサルタント、いろんなセンセイ方は、数字を使ってお話をすることがあります。
数字を使うとわかりやすく、具体的に、より説得力を持って伝わる可能性が高いからです。

でも、それは何を意味しているのか?
つねに違う角度、目線からも見るクセをつけておきたいものです。

過去にも折りに触れ、記事にしてきました。

・率と額(金利と融資額) 2017.0217

・率で考えると間違える 2017.0620

・率と額のおはなし(数字の見かた) 2023.1021

・定率と定額(率と額、ふたたび) 2023.1026

冒頭の画像、もう少し引いて見てみましょう。

いかがでしょうか?

率で見るとすごいが、額で見ると・・・

少し引いた画像を見ると、率は3169.71%、つまり31倍を超えています。
しかし、金額(増加額)でみると、+6,593円です。

具体的には、前期208円だったものが、今期は6,801円になった、ということを「率」で表すと、「3169.71%増!、31倍もの・・」となってしまうわけです。

「前期より、6,600円ほど増えました!」と
「前期比で31倍を超えています!」はどちらがインパクトがあるか?

その意見を述べた人の意図が垣間見えるわけです。

この31倍のもとはこちらです。

これは会社の営業外収益の部分、2期比較から抜粋です。

金利が上がったことが、こういうところに現れている、というわけです。
今までとはずいぶん違っています。

各金額の横にある比率は、対売上比を表しています。
売上に占める割合は・・・「ない」と言っていいレベルです。

そもそも31倍も、会社の全体を見るうえで、話題にする必要もないかもしれません。

もしこれを話題にするなら、
・金利は上がる方向になっているが、それがここに現れている
・でも、裏を返せば、これからの借入金利も同じように上がっていく可能性がある
といった話になるのでしょうか。

私は「額」で見ることをおすすめします

私は従来から「額」が大事だと伝えています。
もちろん「率」も見ますし、それ以外の部分も見ます。

でもなぜ「額」が大事か、というと、
・1円でも足りなければ、決済はできない
つまり、現実には「取引が成立しない」となります。

でも「率」は、ある数字とある数字を割った結果の比率です。
つまり、あとからの計算です。

また、「原価率を1%下げろ!」といっても、その1%っていくら?
具体的な数字にするのに、もうひと計算しなければなりません。

しかも2つの数字の比率ですから、原価を下げても、売上が変わったら率はまた動きます。

「ほなら、あと1%、これで勘弁してください〜」
「1%って言うても100円やないか、子どもの駄賃にもならんわ〜」

「いくら?」「なんぼ?」、つまり結局は金額です。
これが商売の基本だと思うのです。

(筆者は東京出身です)

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